ラスボスと思って倒したら実は小ボスだった話
カンボジアに来て、かものはしプロジェクトはまだまだ道半ばなんだなと感じます。寄付者の方のところへ訪問すると、「カンボジアで成功して次はインドですか!」「かものはしさんは良い成功例ですよねー!」みたいなことを言われますが、この世界から人身売買・商業的性的搾取はまだまだなくなっていません。
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10th Years Anniversary of Community Factory
カンボジアでかものはしプロジェクトの工房設立10周年記念式典が開かれました。工房で働く女性や工房を卒業して社会で活躍している女性のスピーチを聞いたり、ファッションショーで輝いてる女性たちを見て、かものはしプロジェクトがこれまで積み上げてきたものの重みを感じました。
かものはしプロジェクトの活動がなければ、彼女たちが誇りを持って働くこともなかったと思うし、これからもそれがずっと続いてほしいと切実に思います。
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工房設立10周年が意味するもの
私は2018年4月からかものはしプロジェクトで働き始めました。今月でまだ4ヶ月目です。正直私からすると、「10周年かー。すごいなー。」ぐらいの印象で全然ピンときていませんでした。それは例えて言うならば、ラスボスと闘う直前でセーブされたRPGを中古で買ってきて、レベル100の手持ちパーティーでラスボスを倒して「殿堂入りおめでとう!!」と言われている感覚です。
RPGの醍醐味って、レベル3くらいの状態からコツコツ経験値を積んで、いろんな紆余曲折がありながらも小ボス・中ボス・ラスボスとレベルアップしていくその過程も全部含めて楽しいわけですよね。
最初からレベル100の状態で無双したところでそんなゲーム、何にも面白くない。
日本のかものはしプロジェクトでファンドレイジングに携わっているとふとそんな感覚に陥ることがあります。私がこの案件を着地させたとしても、それはかものはしプロジェクトの先輩たちが営々と積み上げてきた信頼のお陰であって、私の力が影響したところなんてほんのわずかなものでしかないんだという、虚しさみたいな感情です。
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ミーティングで感じたこと
かものはしプロジェクトが工房10周年を迎えるにあたり、今我々はどんな状態なのかを探るミーティングを行いました。私は先程のRPGの喩えをそのまま共同代表の本木さんに伝えたところ、本木さんから返って来た答えが、
「まだ小ボスくらいだよ。」
私は勝手にこの10周年という節目を殿堂入りくらいに捉えていて、かものはしプロジェクトからカンボジア事業をSUSUに引き渡して、これからインドでの新章がスタートするくらいに思っていました。しかし、本木さんを始めかものはしに長く携わっている方たちが口々に「10年なんて本当にあっという間だった。」「力が及ばないこともあった」と仰っているのを聞いて、かものはしプロジェクトが目指しているところはまだまだ道半ばで旅の途中なんだなと痛感しました。
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人身売買のない世界
かものはしプロジェクトはこの世界から人身売買をなくすために活動している団体です。かものはしに関わるメンバー全員がその目標に向かって走っています。それは人が人として生きるために当たり前に守られるはずの権利や尊厳を取り戻すようなことです。この問題を深く知れば知るほど、その根深さに圧倒される時もあります。
でもメンバー一人一人が自分の役割を全うすることでチームに貢献して、問題解決を前進させようとしています。私も何か一つでもそのお役に立てたら最高だなと感じています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。