社会的価値の最大化

 

  • 寄付者が感じている価値

ファンドレイジングに携わっているとよく思うのですが、寄付をして下さる方は一体何に価値を感じて寄付してくださっているのか、とても気になるところです。まずは一般的に考えられそうなものを挙げてみます。

 

団体が目指すビジョンに共感できる

王道ですね。団体が掲げているビジョンが達成され、そんな社会が実現してほしい。また永続的に社会に残り続けてほしいと思うものに対して、お金を出す。分かりやすい例はオーケストラや美術館でしょうか。このタイプの寄付継続率は高いです。

 

直接話を聞いたらタメになった

対面系ファンドレイジングの主流です。やり方としては、特定人物に対して活動を説明する方法と、不特定多数に呼びかけて講演会を開く方法があります。

前者は特定人物の心に触れる琴線がどこにあるのか想定でき、事前に準備できるので、単価は上がります。後者は一般的な説明にとどまるはずですので、単価を下げたマスマーケティングです。

 

スタッフが頑張っているから

実際にボランティアに参加したら、スタッフの頑張っている姿を見ることができ、信頼できると思ったので寄付したというパターン。

あとは事務局に電話したら対応が丁寧だったので好感が持てたから、とかですかね。

 

とりあえず社会貢献したい

社会貢献に対する意識は高いものの、本業が忙しくてボランティアに参加するほどの余裕はないので、せめてお金を出すことで貢献したいというパターン。

意識高めなエリートサラリーマンはここに当てはまります。

 

知り合いが活動してるから

意外とこのパターンも多いのではないでしょうか。家族や友人、ご近所さんが頑張っているので「お付き合い」的な感じで寄付する場合です。

 

節税したい

税額控除を利用して節税したいという層。中小企業の経営者が多そうですね。前職でたくさんの中小企業オーナーを目の当たりにしてきましたが、彼らは節税に熱心で「いかに利益を相殺するか」に腐心します。この場合は認定が下りていないNPO法人など、節税メリットを享受できない団体は支援対象から外れます。

 

返礼品が貰えるから

寄付をすることでお礼の物品が貰えたり、寄付すると特別な優待・優遇を受けられるので寄付するパターンです。ふるさと納税は、あくまで納税の一環なので寄付と言えるのか微妙ですが、広義ではここになります。

 

 

いずれの場合にせよ、寄付先がきちんと社会的に価値を創出していることが寄付の動機になりそうですね。

 

 

 

営利企業には株主という出資者がいて、出資してくれたお礼に事業収入の一部を配当として株主に還元します。営利企業の命題は株主価値の最大化です。株主にどれだけ利益を収められたのかが、そのまま企業の価値になります。

 

社会的企業は集めた資金を使って社会問題を解決したり、市民が必要としているサービスを提供します。寄付をしても直接的な見返りはありません。社会的企業の命題は社会的価値の最大化です。社会的企業によって問題が改善されることで、寄付者が望む世界に近付いたり住みよい生活が得られたりします。

 

 

 

  • ビジネスと社会貢献の両立

社会的企業はどれだけ社会を変えられたのか、営利企業の利益追及と同様に、結果が大事です。もし社会起業家の説明が不十分と思われれば、寄付を打ち切られるのは当然です。(もちろん一朝一夕で社会は変わらないので、より長期的な目線がいることは申し添えておきます。)営利企業でも社会的企業でも、そのミッションに忠実であることが大切で、そこに優劣はありません。どちらに身を置いたとしても社会に貢献することは可能です。

 

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。